たっぷりと取ったはずの昼食もすでに腹を通り過ぎ、その時はもうオフィスのパソコンの画面に向かいながら今夜の夕食は何にしようかと考えていた。
そんな時ふと、オフィスの扉が開き私の背後でビチェさんとめぐみさんがクメール語で二言三言やり取りをしている。その中の聞きなれた単語を私は聞き逃さなかった。
「・・・・コンカェップ・・・。」
勢い良く振り返り、私は答える。
「あっ、好きなんです、それ。」
ビチェさんの顔に笑みが浮かぶ。
カンボジアの人は同じものを食べてくれるのが嬉しいらしい。
奥のキッチンから香ばしい匂いが漂い始めた頃にそれは、運ばれてきた。
「コンカェップ」それはつまり「カエル」の事。
コーン油だろうか、揚げたての香りが食欲をそそる。
味付けは塩だけと、いたってシンプル。味は身の小さい鶏肉そのもの。これにカンボジアの黒胡椒が乗っていたなら、ビールを飲みたい衝動を抑え切れなかっただろう。
自分に割り当てられた分はあっという間に平らげ、さらにキッチンに用意されていた分まで食べてしまった。
それにしてもオフィスのおやつで出てるとは。
次は何が出てくるのだろうか。
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