世界的に異常気象が目に見えてひどくなって来ている。
3月には中国の旱魃。
今月はロシア。
日本も先月までは大雨が、さらに今は灼熱の日が続き、熱中症で倒れる人まで出ていると言う。
そんな異常気象の予兆はここカンボジアにも波及している。
水不足なのだ。
昨年に比べ、雨量が少ない。
先日このブログでトンレサップ湖の現状についてを書いた。
今回はシェムリアップの生活用水を担う「西バライ」についてお伝えしたい。
国道6号線をシェムリアップから北西へ約20分。
日本の国旗が書かれた給水等を目印に、途中北へと折れる小道を進む。
そこからさらに10分程進み、最後のちょっとした坂を上ると、目的地「西バライ」へと到着する。
視界が開けた途端に驚いた。
水があまりに少ない。
東西8km、南北2kmの大貯水池の4分の1ほどにしか水が無い。
これでは、中央にあるメボン遺跡まで、歩いて回れるのでないかと思い、早速行ってみた。
水辺まで行くとあまりの水の少なさに、その役目を果たす事が出来ないボート達が並んでいた。
その脇では子供達が何事も無いかのように泳いでいる。
途中ジュース売りのおばさんが遺跡まで、バイクで行けるよと教えてくれた。
普段は地元民の避暑地として、多くの人が訪れているが、この時ばかりは水量のせいなのか閑散としていた。
慣れない砂地に足を取られながら進み、遺跡まであと少しというところで道が途切れていた。
しかし、見れば水深は10cmほどしかない。
このまま雨が少なければ、歩いて渡れるようになるのは明白だった。
11世紀末に建造され、1940年代にフランスによって再整備された西バライ。
すべてが人造であるとはにわかに信じがたいほどの大きさを持つ大貯水池だ。
カンボジアの旱魃は、雨量が少ない事も勿論関係しているが、メコン川の水量が減少している事で、西バライへの負担が大きくなっている事もあるだろう。
メコンの水量が減少しだした時期は、中国がメコン川上流にダム建設を始めた時期と一致するという報告もある。
いずれにしろ、農業大国であり、またメコン川、トンレサップ湖からの魚で総摂取量の80%のタンパク質を摂取していると言われるカンボジア人にとって、水の量は直接命に関わる程の一大事のはず。
インフラ整備は確かに必要だと思うが、もっと先を見据えた行動が必要となるのではないだろうか。