車を降りると、そこには多くの兵士がいた。
家族で来ているのか、子供の姿も多く見かける。
遺跡までの道の途中には、銃を持った兵士が多く、また道の端には機銃も設置されていた。
私が興味を示すと、兵士が武器についての説明を始め、56式の7.62mmNATO弾や82mm迫撃砲等も見せてくれた。
Sさんが
「何処狙ってんだ?」
と覗いたが、ただ空に向かっておいてあるだけの様だった。
後で兵士は昼寝してるし、実にカンボジアらしい。
子供達は敬礼して写真に写りたがる。
服も軍服らしいものを着ている。
遺跡へ着くまでほとんど観光客もおらず、視界には兵士の姿しか見えない。
兵士達はハンモックで寝ていたり、食事をしていたり、その姿から、緊張感を感じることはなかった。
しかし、設置された銃口は確実にタイへと向いている。
そしてタイからも銃口は向けられている。
それは、今この瞬間もだ。
軍服を着て敬礼する子供達。
その傍らには銃がある。
この光景は、私の知っているカンボジアの姿ではなかった。
しかし、これもカンボジアの現実なのだ。
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