雨季が始まって、土地に水が行き渡り出す頃。
カンボジアでは田植えの光景を見る事が出来る。
農繁期となる7月~9月は学校も休みとなり、子供達も農作業の手伝いをする。
カンボジアにの田舎には、当然農業用の機械というものは無く、全ての作業を人の手で行う。
耕したり、荷物の運搬などには牛を使う。が、やはりほとんどが人の手だ。
よく見ていると、日本では、3本ずつ稲を植えるところが多いが、こちらでは5本づつ植えていた。
もう何年もこうやって来たのだろう。
皆手際が良い。
今年は、水不足の為、田植えの時期が遅くなっている。
水が溜まった所から、田植えを始めているらしい。
しかし稲作の場合、水が少ない状態で耕作を始めると、連作障害になり易く、今年のみならず、来年の収穫への懸念も出てくる。
既に水のあるところは、田植えが終わっており、視界の全てがとてもシンプルなものとなった。
そう言えば、以前Mr.モイモイこと、ポーキーさんに日本に行った時の感想を聞いたことがある。
日本の田舎の風景ついて彼はこう答えた。
「天国みたいでした。」
カンボジアには山が少なく、ここの人達が山の風景にある種の憧憬を抱いている事は知っている。
また、食べ物など、幸せな気分の時も、このような表現を使う。
私は、地平線まで続く緑を見て、地上の楽園の様だと思った。
さらに太古の昔に生きた人達、つまり、今よりももっと自然と共に生きていた人達が想像する「天国」とは一体どんな物だったのだろう。