「水あるところに魚あり。」
カンボジアは昔からそう呼ばれ、水と魚が豊富にあった土地だと言われて来た。
しかし、ここには乾季と雨季がある。
雨季の時期は水が豊富にあるが、乾季になれば急激に水が減ってしまう。
事実、ここの水源としてもっとも有名なトンレサップ湖は乾季と雨季でその広さを倍近く変化させる。
そんな特異な環境下でも果たして魚は本当に豊富にいるのか・・・。
市場に行くと雷魚、ナマズ、ドジョウ、ウナギ、フナ等、日本でも馴染みのある魚も数多くいる。よく見ると上鰓器官を備えた魚が多い。
上鰓器官(じょうさいきかん)。
これがあると空気中からも空気を取り込め、体が濡れてさえいれば死ぬ事はない。
私が子供の頃、釣って来た雷魚をどうして良いか分からず、アスファルトの上に放置していた事があった。それから1週間後、雨が降り、彼は元気に水辺へと帰って行った。
あまりの生命力の強さに恐怖した事を覚えている。
彼らは水が多い時は水中で暮らし、水が少なくなれば、ヘビの様に体をくねらして陸上を移動し、新たな水辺へと行くのだ。
彼らはなぜ、このような器官を備えたのか。
ここに暮らさなければならなかったのか。
それともここで暮らしたかったからなのか。
鱒のように大海に出て、鮭になると言う道もあったはず。
ならば彼らはここで暮したいからそうなった。
そう考えると、キリンの首は何故長いのか、ムササビは何故飛ぶのか。
彼らもきっとそうしたいからそうなったのだろう。
人間も好きな事をやれば良い。
彼らを見て、そう思った。
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