日本人が最も好きな花。
それは桜だろう。
節目の季節に花を咲かせ、記憶の端へと刻まれる。
カンボジア人にとっての「桜」とまでは言わないが、とても重要な植物がある。
それはバナナだ。
市場にバナナが並んでいない日などない。
果実はただ食べるだけでなく、仏事の供え物にしたり、葉は皿に、根は薬草にとその用途は広い。
桜にも染井吉野や、エドヒガン、八重サクラなどの種類がある様に、カンボジアのバナナにもいくつかの種類がある。
チェイク・オンボー
チェイク・ポン・モアン
チェイク・ナンヴァン
チェイク・クロアップ
チェイク・チュビエ
etc・・・
大きく分けると生食用と料理用に分類される。
それぞれに特徴があり、実に面白いのだけれど、今回特に面白いと思ったのはチェイク・チュビエの話だ。
この種はメコン川の近くの地方では、家の近くには植えられていない。
この辺りでもその多くは寺院などに植えられているという。
何故なら、このバナナの樹を幽霊が好むから。
梶井基次郎は、桜の樹の下には死体が埋まっていると考えた。
カンボジアの人はバナナの樹には幽霊が集まると信じている。
梶井基次郎がそう考えたのは理解できる。
しかし、バナナの樹を幽霊が好む理由が解らない。
元になった話と出会う日を楽しみしていよう。
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