雨季だと言っても、日本の梅雨のように毎日雨が降るわけではない。
数日おきに、大粒の雨が1m先の視界を遮る程、1時間近くに渡って降り注ぐ。
降るだけ降らせたら、後は快晴。
雨の後の空があまりに青い為、時々合成写真のようになってしまう時がある。
それでも晴れ間の写真が撮りたくて、農村へと自転車を走らせた。
強い日差しを避ける為、若干顔伏せながら、前へと進んだ。
1kmほど進むと、田植えをしている人達が見えてきた。
そちらの方から、なんとなく歌も聞こえてくる。
笑い声も聞こえるから、即興で歌でも歌っているのか。
ファインダーを覗き、シャッターを切る。
そして中のプリズムが光を失う。
その時だった。
突然、海馬の奥の奥にあって、普段は意識しても思い出せない記憶が蘇ってきた。