昼間、仕事へと向かっていると、木の上から音がした。
音のするほうを見上げてみるも、日差しが眩しくて、上手く見えない。
目を細め、しばらく探してやっと見つけた。
木の中央を、一人の男性が登っていた。
何をしてるの?と声をかけると、ロンガンを採っていると、彼は応えた。
あ~そうか。
7月は龍眼(ロンガン)の季節か。
市場へと行くと、おばさんがロンガンを山積みにして売っていた。
そして、その隣には見慣れない果物。
おばさんに、果物の事を訪ねると
コンピニ・リエットという名前だと教えてくれた。
シェムリアップでは、シコン、とも言うらしい。
1つ貰おうかな、と言うと、
おばさんは
「それは酸っぱいよ。
ロンガンの方が甘い。
こっちにしときな。」
と言う。
商売っ気の無さも、カンボジアの美点かな。
おばさんの制止を振り切り、コンピニ・リエットを一つ買ってオフィスへと戻った。
形からミカンのような果物かなと考えていたので、そのまま手でわしわしと剥いてみたのだが、これがなかなか手強い。
なんとか半分に割ってみたら、予想とは全然違う中身が出てきた。
どこが果肉なのかも良く判らん。
とりあえず、中央あたりから噛り付いた。
さわやかな甘みと、ほのかな酸味。あとから、若干の渋みも合わさってくる。
日本のスモモに近い味だ。
中にある種もスモモと同じようなもので、それが3つ、4つ入っている。
小さなスモモがこの大きな黄色い皮の中に並んでいるようなつくりだ。
おばさんが言うほど、酸味もきつくないし、美味いのを選んでくれたんだろう。
そのまま食べていたら、オフィスから、スーちゃんがやって来て言った。
「今食べている部分は、皮だから食べない方がいいよ。
それと普通は包丁で切って食べるんだ。」
どうやら、食べられないところまで口に入れていたらしい。
カンボジアの事は、先にカンボジア人に聞くべきだな。
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