仕事で革靴を履いていた時は、ソールを張り替えたり、縫い直して貰ったり随分とお世話になった。
今回カンボジアで初めて、靴の修理に行ったのだけれど、この親父がとてもいい雰囲気を醸し出していた。
靴を見せるや、奪い取るようにして手に持ち、咥えタバコのままあちこちと調べ始める。
時間が掛かりそうだなと思って、道具箱などを見ていたら、彼の昼食なのか、食事が目に付いた。
煮込んだ豚の皮と、豚の血を固めて煮た物だ。
こんな昼間っから精の付きそうなものを食べていた。
そうこうするうちに、片方の靴の修理が終わった。
するとこの親父、手元にあったショットグラスを勢いよくあおった。
ぷはーっとか言ってるし。
間違いない、酒だ。
よく考えたら、この食事も完全に酒のつまみだ。
そう時間もかからず修理は終わり、靴を受け取った後、料金を払った。
すると親父は、紙幣を丸めてポケットに詰め込み、どこかへ消えていった。
多分、酒でも買いに行ったのだろう。
年取ったら、こういう生活もありかな、と思ってしまった。
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