約1年ぶりに日本へ帰国。
そして桜を見たのは5年振りか。
東京は自粛から、復興へと意識は移りつつあったものの、節電の為に街全体が暗く、私の知っている花見シーズンとは明らかに様子が違っていた。
そんな中、風の旅行社さんにご協力頂き、有志を募って中野・新井薬師にて花見を行ったのだが、絶好の花見日和にも関わらず、疎らにしか人はいなかった。
しかし、こんな時に花見を行っている人達というのは士気が高く、節度と品性を保ちながら、盛り上がりを見せていた。
面子も揃い、花見気分もピークに達していた頃だったか。
「これ宮城の酒なんですが、一緒に飲みませんか?」
と、一人の青年が声を掛けてきた。
その手には「浦霞」。
勿論、その場にいた皆が快諾。
その日はいつもより多くの話をし、酒を飲んだ。
次の朝、起きたら声が枯れていた。
でも清々しい朝だった。
此度の出来事は被災地のみならず、日本全国へ大きな傷跡を残した。
しかし、そのことで日本中の老若男女が共通の話題を持ち、それを議論し、行動している。
昨夜、めぐみさんが、「市場周辺の物乞いが以前に比べて減っている気がする。お年寄りが多かったから亡くなったのかも知れない」と言っていた。
現在、カンボジアは戦争を知らない世代も育って来ている。
彼らは少なからず教育を受け、マスメディアによって外国の文化を受け入れ、施しを貰う以外の生活の仕方を覚えて来ている。
今回の震災も、もしかしたら、一つ世代を超えるまで、傷は残るかもしれない。
が、悲観ばかりしていてもいけない。
「俺達はみんなドブの中にいる。でもそこから星を眺めてる奴らだっているんだ。 by オスカー・ワイルド」
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