ある日の休日の事だった。
その日私は自転車で遺跡巡りをし、疲れた体を癒そうと、遺跡横に建てられた新しい寺院の影へと腰掛けた。
しかし、カンボジアは土地が平坦な為か、水辺が近いなど地形に変化が無い限り始終、風が吹いている事は少ない。日陰に入ったにも関わらず、私は滴り落ちる汗をずっとタオルで拭っていなければならなかった。
そこに腰掛けて、5分程だったろうか。
ふと一陣の風が吹き、私はそれに身を任せるかのように眼を閉じていると、首筋に何かがあたるような感触があった。私はそっと首筋に触れ、それを確認した。
すると、
手には一本の長い髪の毛が。
私は何か気味の悪さを感じながら、辺りを見回した。
そこで、見たのだ。
樹の股に掛けられた、大量の髪の毛。
それも一箇所では無い。
周囲には大量の髪の毛が置かれた樹が何本もある。
この時は、これが何を意味するのか解らないまま、この場を後にした。
後日、Mr.ポーキーに聞いて見た。
彼が言うにはこうだ。
これは、樹の精霊に願掛けをした後だと言う。
精霊に何かお願いをする際に
「願いが叶ったなら、髪の毛を切り、それをあなたへと捧げます。」
とお願いをするのだと言う。
では、あの髪は願いが叶った証だったのだ。
あれを見た時は、気味の悪さを感じたが、この話を聞けばそうは感じなくなった。
が、実際眼にするとやっぱり・・・。
何か願い事がある際は、お試しあれ。
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