晴天の日曜日。
そんな日に部屋に閉じ篭っているのは、あまりに勿体無い。
じゃぁ、自転車でどこかへ行こう。
そんな軽い乗りだった。
午前10時。
軽い朝食を取った後、水やパンク修理キット、空気入れ等必要なものを用意し、いざ出発。
今回の目的地はシェムリアップ市内から約30kmに位置する「チャウ・スレイ・ビボール」という遺跡。
そこを目指し、まずは国道6号線で東南へ向かう。
国道と言っても、市内から10分も行けば、民家も交通量も少なくなり、青空と地上の境界が露になる。
ウォーミングアップも兼ねながら、自転車は時速25kmで進んでいた。
晴天の日曜日にふさわしい快適な出だしだった。
自然と会話も弾んでいた。
しかしこの後、まさかあんな事になるとは、この時は知る由もなかった・・・。
「チャウ・スレイ・ビボール」へは約1年前に行った事があった。
但し、道を良く覚えていない。
メンバーの一人が2週間前に行ったばかりだったので安心していたが、彼も良く覚えていなかった。
「なんとかなるさ。」
このセリフが、今回の旅をよりスリリングなものにして行く。
最初のきっかけは曲がり道を間違えた事だった。
道をはいって30m程で間違えた事に気づき、小さな集落で、ハンモックに寝ていた男性に、遺跡までの道を聞いたら知らないと言う。しばらく進んで村の女性に聞いたら、道を教えてくれた。
こちらでは何故か、女性の方が道を知っている場合が多い。
しかし、その道の回りには田んぼ。道は砂地。
ロード用のタイヤは砂地には向いていない。
仕方なく、押して歩いた。
足を取られる砂地の中、20分程歩いただろうか。
周りを見ると、若干の疲労が見えるが、元の道に戻りましょうとは、誰も言わない。
「とにかく、進めばなんとかなるさ。」
こう言われたら、進むしかない。
その時だった。
前方に土手の様なものが見えた。
Sさん「あれを越えたら、広い所に出そうだね。」
Kくん「近づいたんではないですか?」
私「川だったりして(笑)」
当たり。
Sさん「余計な事言うからだよ・・・。」
つづく。
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