「バンブートレイン」と呼ばれる乗り物がある。
線路の上に車輪を置き、その上に竹と木材で出来た簡素な車体をのせ、耕運機のエンジンで走る。
以前は線路沿いに住む住民達の足となっていた様だが、道路整備、バイクの普及に伴い段々とその数を減らしつつある。
今回訪れたのはカンボジア第2の都市バッタンバンにあるバンブートレイン乗り場。
ここは、ほぼ観光用と化していた。
乗り心地は決して良くない。
線路は歪んでいるし、線路の継ぎ目の箇所に来れば派手に揺れる。
だが、気分は良い。
視線が低いこともあり、いつもとは少し違う景色の流れ方をする。
バナナやヤシが茂る中を進む様はさながら映画の一場面のようだ。
時折、林の切れ間から見える景色も心を和ませてくれる。
バッタンバンは稲作が有名だ。
この時期はちょうど稲刈りを行っていた。
操作はいたって簡単。
エンジンは常に全開。
あとは手にした、この棒でブレーキの調節をするだけ。
自転車より操作が少ない。
面白いのは対面からも来た時。
線路は1本しかないので、どちらかが譲らねばならない。
ルールは荷物が少ない方が譲る。
今回、こちらは1台で5人、相手は3台と大人数だった為、こちらが譲ることとなった。
しかしこんな時も簡素な作りなので、皆でやれば数秒で作業は終わる。
観光用乗り場から少し歩くと、かつて駅だった建物や、村の生活を垣間見る事が出来る。
この時は、昔この駅で働いていたという、おじさんや近所にずっと住んでいると言うおばさんからカンボジアの電車についての話を聞かせてくれた。
サトウキビジュースを飲みながら、村人と会話をしていたら、地元の人たちが利用している姿を見ることが出来た。
12人乗ってる。13km先の村から来たらしい。
時速20km程度の速度で時折止まりながら来るので、2時間近く乗っていたのではないだろうか。
運転手はとても急いでいて、すぐにまた出ようとしていた。
理由を聞くと、今からおよそ100km先の村まで行かねばならないと言っている。
単純計算でも5時間は掛かる。
急ぐはずだ。
線路に腰掛け、果物を食べながら会話する。
旅行をするなら途中でそんな時間を作れるような旅が良い。
※バンブートレイン
・料金は交渉制。一人$5、1台$15が目安。
・時間:早朝から、日没まで
・勿論、保険などはないので、ご利用は自己責任でお願いします。
・バッタンバン市内中心部から車で10分。途中は未舗装路の為、雨季はもう少し時間が掛かる事が予想されます。
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