今、タ・プローム遺跡に大規模な修復の手が入っている。
西門から真直ぐ進んで行くと、本来参道が在ったところへと辿り着く。
しかし、この辺りの損傷は激しく、以前から立ち入り禁止となっていた。
その区域の奥の方をのぞくと大きなクレーンが目に付いた。
遺跡を構成する石は非常に重いためクレーンがある事はさして珍しいことではない。
裏手に回ると参道の形が出来かかっていたが、ところどころコンクリートで固めてある。
ここはインドのNGOが修復を行っているとの事。
中央祠堂の裏手では、ガイドブックに「大蛇のようにのたうつ樹」等と書かれる、有名な箇所にも修復の手が及んでいた。このまま放置すれば、樹木の成長に遺跡が耐え切れないのかもしれない。
回廊の中はしっかりと足場が組まれ、整然と立ち並ぶ様は美しいとすら感じる。
更に東側へ周り、回廊を抜けると目の前に一際大きなクレーンが現れた。
修復にはもはやなくてはならないものだろう。
修復に携わる彼らはプロである。
それぞれ思惑もあるだろう。
限られた予算では出来る事も限られる。早く修復をしなけばならない。
木製の渡り廊下は歩き易く、観光していても以前のように疲れはない。
足場が並んだ姿も綺麗だ。
それは解る。
が、しかしここを訪れる人達はこんな物を見に来るのではない。
他にやり方はなかったのだろうか。
散々悩んだ結果、こういうやり方になったとしても、せめて今後の修復の方向性だとか、最終的にどうするというのが解ればまだ救いがあるのだけれど。
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