ここカンボジアには「スラ・ソー」と呼ばれる焼酎がある。
九州出身の私は「焼酎」と聞かされたら、作る過程から見たくなるのは当然の事で、作っていると言う家庭を訪ねていった。
街の中心地から約20分。
シェムリアップ州・プオーク郡・アポーク村の、とある民家に着いた。
「スラ・ソー」は米焼酎なので、米農家の多いカンボジアでは至る所で造られている。
民家の裏手に回ると早速米が干してあった。
一度炊き上げた米をこうして日陰で2日間乾燥させる。
乾燥が終われば、甕に移して麹を入れて更に2日間発酵させる。
少し掬って舐めてみたら、とても強い酸味の中に、酒の香りがした。
発酵が終わったら、中央の鍋のような物に入れ、火に掛け蒸留していく。
通常、蒸留する時は、鍋とレンガの柱から出ているパイプを繋ぎ、柱の後ろにある大きな甕に蒸留されたお酒が落ちる様になっている。
出来上がりがこちら。
透明の綺麗な液体だが、蓋を開けると強いアルコールの香りが漂ってきた。
仕事中でなかったら間違いなく、飲んでいただろう。
村人はペットボトルやお気に入りの瓶などを自分で持参し、この甕から別けて貰う。
ここのは1リットルで3000R(約70円)程だそうだ。安い。
しかし料金は場所によって違う。
スラ・ソーの多くは米農家で作られていて、その殆どは米だけでなく精米や養豚を行っている。
養豚する場合、酒粕は栄養価が高い為に豚の餌として最適であり、豚の排泄物は肥料になる。
なんとも無駄がないことに感心した。
最近ではお土産用に瓶入りの物も出回るようになった。
しかし、やはり瓶入りの物よりも、自分で農家で買って来る方がなんとなく有難みがある。
そして旨い酒には、旨いつまみがあるといい。
お気に入りのつまみは、「トゥレイ・チョンワー・ボンポーン」
タナゴのから揚げ。
揚げたての時のサクサクとした食感は言葉を失うほどの旨さ。
タネに醤油が入っていて、その芳ばしい香りが一層酒を進ませる。
最近は夜風が涼しいので、一人部屋で窓を開け、酒を片手につまみを突つくのも気分が良い。
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