1989年11月9日
この日ベルリンの壁が崩壊し、東西ドイツは統一を果たした。
奇しくもこれより36年前の同じ日、1953年11月9日に当時の国王シハヌークの長年の努力が未を結び、カンボジアはフランスからの独立を果たした。
この時より現在まで、毎年11月9日は独立記念日として、カンボジアの祭日となっている。
そして実はカンボジアの人々は10月29日の祭日(シハモニ王即位の日)から、途中水祭りを挟んで、11月9日まで長期の休暇を取っている人も多くいた。
連休最後の日、プノンバケンへと行って見た。
最近朝夕めっきり涼しくなった。肌に受ける風から乾季の香りがする。
今後は雨も降らなくなり、観光のベストシーズンとなる。
しかしこの時期、ガイドブックに載っている様な箇所はやはり人が多い。
夕刻、夕日の観光スポットとして有名なプノンバケンの頂上へと続く道は、人で溢れ帰っていた。
日没までは時間があるのに、早くも下山して来る人もいた。
岸壁に張り付くウミツバメ。
滴る汗を拭いながら、木々の隙間から頂上を見上げた時、そんな事を思い起こさせた。
時刻は16時半。
夕日を見る為に遺跡西側の壁面は人が埋め尽くしている。
にも係わらずまだまだ人は増え続ける。
いい場所が取れない為か、下山する人。
階段まで来たが登れずにいる人。
降りている人の脇をすり抜ける人で混雑している。
転落。
仕事柄、そんな事故の様子が頭をよぎる。
人が少なそうな階段を選び、遺跡の上に行くと、英語、フランス語、中国語、韓国語が飛び交っていた。
祭日のせいか、カンボジアの人も多数いた。
早速写真を撮ろうと場所を探すが、無い。
夕日の見える西側は何処も先客がいて、誰かの肩越しや、人の隙間からしか覗く事が出来ない。
やっと場所が取れた時、太陽は既に地平線に沈み、夕焼けだけは楽しむ事が出来た。
街灯の無い山道を下る時、日本から限られた日程でこちらへ来る人達の事を考えた。
天気が良ければ人が多く、悪ければ人は少ないが、綺麗な夕焼けは望めない。
はじめて旅行する土地では多くは望まない方がいいのかもしれない。
PR