美味そうな屋台を横目に人込みを掻き分け進む。
目指す先は、太鼓の音のする方。
櫓の下には浴衣を着た人々が楽しそうに踊っている。
夏の風物詩「盆踊り」だ。
まさか、カンボジアで盆踊りに参加するとは思っていなかった。
アンコール日本人会主催で10月31日に行われた盆踊りは今回で2回目。
前回、実行委員として参加させて頂いたのだが、今年は実行委員、屋台、そして柔道クラブの生徒達は歌を披露させて頂いた。
まだ、雨季の空けきらぬカンボジアで、外でやるには雨の懸念があった。
その為会場はホテルのホールを借りて行われた。
当日午前。まずは会場の設営から始まる。
天井に提灯を下げ、壁には紅白幕。
屋台のテーブル、椅子、そして音響機器等。
やる事は沢山あった。
昼食は柔道クラブの生徒達と市場で食事。
朝から働いたので、皆良く食べる。
食事の時に彼らに遠慮というものはなく、とても清々しい。
夕刻。
準備も終わり、祭りが始まった。
太鼓の音が鳴り響き、浴衣の人々が行き交う。
生徒たちは柔道着を着て舞台に上がり、歌を披露した。
曲目は「栄光の架け橋」
カンボジアの子供達は人前で何かを披露し、それに評価をもらうという事がない。
学校でもそういった機会はない。
それ故、今回はとても貴重な経験となったようだ。
しかし、彼らの関心は別のところにあった。
「ボン・スレイ(お姉さん)と写真がとりたい!」
めぐみさんが私の屋台の前に来た時の彼らのはしゃぎ様は凄かった。
というのも、カンボジアの伝統衣装に身を包み、カンボジア語で歌い、冗談を言い、会場を盛り上げた姿は彼らに衝撃を与えたようだ。
生徒に「先生も頑張ってください。」とまで言われてしまった。
一方私は、会場内の盛り上がりを聞きながら、延々と明石焼きを焼いていた。
中に入る暇も無く、カメラを構える暇も無く、ただひたすらに焼いた。
祭りは20:00に無事終了し、片づけをした後、疲れ果てて家路に着いた。
夜半、パソコンの電源を入れ、生徒が取った写真を一人部屋で見た。
その時に思った。やって良かったなと。
何事も、ただ見てるよりは参加した方が面白い。
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