現在のカンボジアの宗教は南方上座部仏教である。
かつてアンコール期の時代はヒンドゥー教を信仰していた。
ではそれ以前に宗教はなかったのか?
あった。
名を「ニャック・ター」という。
日本で言う八百万の神や精霊信仰に近い。
「あるところに父子がいた。年を経て、父は他界。
息子は父の墓を建て、毎日供養を行っていた。
ある日、息子の夢に父が出てきた。
そこで父は息子にこう告げる『東の大木まで行きなさい。そうすればお前は人々から尊敬されるようになるだろう。』息子は父の告げた事を聞き入れ、東へと旅を始めた。
旅は困難を伴うものだったが、息子は何とか目指す大木へと辿り着いた。
そこで、息子は旅の疲れを取る為、大木の側の大きな石に腰掛けた。
すると、たちまち彼は聖者となり、村人の尊敬を集めるようになった。
村人は彼を『ニャック・ター(尊敬する人)』と呼び、後々まで称えた。」
古くから、カンボジアでは大きな木や、石など、自然のものには精霊が宿ると考えられていた。
現在でも「ニャック・ター」は祀られている。
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