昔から魚釣りが好きだった。
兄や友達と近所の野池で鮒や鯉、ワカサギを釣っていた。
ここに来てそんな事を思い出した。
どこに行こうとしているのか、あさっての方向を見ながら女の子が走っていた。
その後ろには、先日の大雨のせいかトンレサップ湖の水が、プノンボックの麓まで来ている。
観光用のボートは何事も無いかのように、剥き出しになったエンジンから、煩く音を響かせていた。
一年前に来た時はこの辺りは赤土の道路だった。
いまではすっかり舗装され、市内からの移動の際も、さほど天候に左右される事はなくなった。
道路脇には電柱まで立っている。
が、良く見ると民家には電線が繋がっていない。
追っていくと、観光用の事務所へと繋がっていた。
あの電柱は電力ではなく電話用、電信柱なのだ。
つまり、この辺りの住民は未だ電気をあまり必要としない生活をしている。
そう思うと少し「ほっと」した。
しかし、変化の波はすぐそこまで来ている。
はたして、住民達は波に乗るのか、呑まれるのか・・・。
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